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 言葉は「便利な道具」とよく言われます。使い方を理解して正しく使えば,人と人との心を繋ぐ魔法の道具になります。しかし,使い方を知らずに間違えた使い方をすれば,人を傷つける道具にもなるものです。
 私たちは,自分の想いや感情を言葉だけでなく,表情や声の大きさなど様々なものを使って人に伝えようとしますが,なかなかうまく伝わらないものです。また,使う言葉を間違えてしまえば,相手に自分の想いとは全く違う形で伝わってしまい,相手を傷つけてしまう事もよくあります。
 今,友だちと直接話していても「自分の想い」を伝えることの難しさを感じる事が多いのに,LINEやSNSなど「文字」だけで「自分の想い」を伝えようとしたらなおさら難しいものです。自分の想いを絵文字や顔文字などを使って表したとしても,それも文字と同じ役割しか果たしてくれません。
 たとえ,丁寧な文字を書き並べたにしても相手の姿や表情が見えていないのです。また,自分の姿や表情も見えていないのです。だからこそ『言葉の使い方』が大切なのです。人を傷つけないためにも,伝えたい「自分の想い」を伝えるためにも,言葉を発する前に,自分の使う言葉を見直し,「相手を傷つけない」ということを意識する必要があるのです。
 「言葉は,こだまする。」という言葉を聴いたことがあります。優しい言葉は,優しい言葉で。厳しい言葉は,厳しい言葉として自分に返って来るものです。
 今週は,『言葉の遣い方』をみんなで一緒に考えてみましょう。

 暦の上では「立春」を過ぎ,街角に菜の花が咲き乱れ,季節も一歩一歩春へと移り変わろうとしています。
 春は,学校や会社が現在の年度の締めくくりを行うとともに新しい年度をスタートの準備を行う時期でもあります。学校では卒業や高校入学,進級してクラス替え,そして新入生を迎える季節であり,新しい友との出会い,新しい先生と出会い等,新しい生活環境の中で新たな自分を発見する「チャンスの時」でもあります。
 3学期の始業式の時に,3年生には,「是非,145名で『15の春を笑顔で迎える』というゴールを目指して夢を実現してほしい。」ということを,1・2年生には,「3学期は,学級づくりの総仕上げの学期であるとともに新しい学年へ向けて準備する平成31年度ゼロ学期でもあるので,『何をしていいか分からない』と考え,立ち止まっているのではなく,1年後の自分の姿を想像し,どんな小さなことでもいいので,今できることに挑戦してほしい」という事を話しました。高橋尚子選手の座右の銘である「何も咲かない寒い日は,下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」という言葉があります。
 あと約40日後に始まる平成31年度が,君たちにとって新たな自分を発見する「チャンスの時」になるためにも,「学年末テストが終わったから」「進路が決まったから」ではなく,季節が春の準備をしているように,君たちにもこの時期は,「新たなスタート地点への助走路を走っている」「1年後大きな花を咲かせるために大きな根を下へ下へと伸ばしている」という気持ちで「新しい学期」の準備を頑張ってほしいと思います。

 今日は,女子中学生の『言葉の力』という作文の一部を紹介します。「言葉」について一緒に考えてみてください。
 最近,テレビや新聞のニュースで毎日のようにいじめについて取り上げられているのを目にします。最初は,ほんの些細な言葉のやりとりから始まることが多いのではないでしょうか。このように,言葉は遣い方によって,時として凶器にもなり得るのです。
 では,私達は言葉とどう向き合っていけばよいのでしょうか。そういう私も,いざ自分を振り返ってみると,軽い気持ちで遣っていた「ウザい」とか「キモい」などといった,相手を傷つけるような言葉を遣って,知らず知らずのうちに誰かを深く傷つけていたかもしれません。
 もしも自分が逆の立場でそのような事を言われていたのを知ったならば,とても傷つくと思います。言葉とは,人と人とをつなぐ「かけはし」のようなものだと思います。この「かけはし」は,言葉の遣い方次第で丈夫になったり,もろくなったりします。
 私は,誰かに勇気を与える力となる言葉をかけてあげられるような人間になりたいです。
 『好きなものを 好きなときに 好きなようにする』という言葉ががありますが,今,君たちの日常会話の中に,この言葉を「言いたい事を,言いたい時に,言いたいように言う」と言い換えているのではないかと考えさせられる場面がよくあります。
 テレビ番組で笑いを得るために安易に使われる相手を傷つける言葉と同じような事が,「遊びだから」「冗談だから」という雰囲気の中で身の周りで起きていませんか。
 君たち一人ひとりが,クラスメートを信じ,互いに助け合い,笑顔で励まし合う雰囲気を大切にし,相手のことを常に思いやる心が学級中にあふれることを心から期待しています。