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令和3年10月29日(金)
「朝のリレー」
 今日は,谷川俊太郎(しゅんたろう)さんの「朝のリレー」の詩を紹介します。

カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は 柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽(あさひ)にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度(けいど)から経度(けいど)へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

令和3年10月28日(木)
「この気持ち分かる」は読書から
 小説「火花」で芥川賞(あくたがわしょう)を獲得(かくとく)したピースの又吉(またよし)直樹(なおき)さんは,中学生の頃から太宰(だざい)治(おさむ)や芥川(あくたがわ)龍之介(りゅうのすけ)をよく読んでいたといいます。
「夜を乗り越える」という本の中で,又吉さんは太宰治の「人間失格」を読んだときのことを,こんな風に語っています。
「この主人公,めっちゃ頭の中でしゃべっている。俺と一緒ぐらいしゃべっている」
 自分の気持ちは誰にも分かってもらえません,こんな風に悩んでいるのは自分だけなんだろうな,と思っていたときに太宰治の「人間失格」と出会って,自分と同じように悩んだり考えたりしている人がいるんだ,と知ったわけです。
「ああ,この感覚,自分にもある」「わかる,わかる」と思える。共感できる。本と対話するということは,そういうことです。
「本に出会い,近代文学に出会い,自分と同じ悩みを持つ人間がいることを知りました。それは本当に大きなことでした。本を読むこと,本と話すことによって,僕はようやく他人と,そして自分との付き合い方を知っていったような気がします」
と又吉さんは書いています。
 人間関係がうまくいかないとか,自分はこれでいいんだろうかと悩みを抱えているとき,つながっている人たちがいるのはとても心強いものです。
 悩みが解消されるわけではなくても,気持ちをやわらげることができます。
「自分は一人じゃない」と思えるようになった本は,皆さんの生涯の友達になることでしょう。

令和3年10月27日(水)
読書週間
 本日,10月27日から11月9日までの2週間にわたり「読書週間」が設定されています。読書週間では,読書を推進する行事が集中して行われます。
 終戦まもない1947年(昭和22)年,「読書の力によって,平和な文化国家を作ろう」という決意のもと,出版社・取次会社・書店と公共図書館,そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって,11月17日から,第1回『読書週間』が開催されました。そのときの反響はすばらしく,翌年の第2回からは期間も10月27日~11月9日(文化の日を中心にした2週間)と定められ,この運動は全国に拡がっていきました。
 『読書週間』は,少しずつ日本の国民的行事として定着し,日本は世界有数の「本を読む国民の国」になりました。
 いま,電子メディアの発達によって,世界の情報伝達の流れは,大きく変容してきています。しかし,情報を使っているのは私たち人間です。私たちの人間性を育てるのに,「本」が重要な役割を果たすことはかわりありません。毎日の学校生活に,これからの人生設計のなかに,新しい感覚での「本とのつきあい方」をとりいれていきませんか。
 『読書週間』が始まる今日10月27日は「文字・活字文化の日」です。志布志中の生徒の皆さんが,より多くの本に親しむことを期待しています。
 さて,2021・第75回読書週間の標語は,「最後の頁(ぺーじ)を閉じた 違う私がいた」です。1冊の本を一気に読むのは時間的に難しいかも知れません。が,継続的に読書し,最後のページまで読破(どくは)して,自らの人生の羅針盤(らしんばん)とする本を見つけてください。