令和3年10月29日(金)
「朝のリレー」
今日は,谷川俊太郎(しゅんたろう)さんの「朝のリレー」の詩を紹介します。
カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は 柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽(あさひ)にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度(けいど)から経度(けいど)へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ