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 『叱られるうちが花』という言葉がありますが,聞いたことがありますか。
 先生や家の人から注意を受けて,「叱ってもらってありがとうございます」とはなかなか思えないものです。
 今,目を閉じて自分自身の姿を振り返ってみてください。今までに注意をされた理由が納得できなかったり,理由は分かっていても素直になれなかったりしたことはありませんか。
 実は,君が注意を受けたり,叱られたりするのは君に可能性があるからです。私も教師になったばかりの頃,先輩の先生方からたくさん叱られました。その時は,自分自身も未熟だったのですが,自分自身が否定されているように感じて,落ち込んだことを思い出します。「先生,叱られるうちが花なんだよ。言っても変わらないと思う人を叱る人はいないよ。」と諭され,その時は「本当にそうなのかな」と先輩の言葉を疑っていました。
 しかし,幾つかの学校を経験し,先輩方と同じ立場に立つようになった時,先輩方の思いや先輩方がくださった教えに対して心から「ありがとうございます。」と思えるようになったのです。
 その時,私は,叱られた事だけに気を取られ,「なぜ,叱られたのか」という事に目を向けようとしていませんでした。叱られたことに腹を立てることは,成長する機会を失うだけでなく,叱って下さった相手との関係も壊してしまうものです。
 叱られた事は,「可能性を認められた事」であり,成長する方法を教えてもらっている事なのです。その場の気持ちだけで受け止めてしまったら,君は成長のチャンスを失うことになるのです。
 君たちが,『叱られるうちが花』という言葉を少しでも理解できるようになった時,君たちは大人へと大きな一歩を踏み出した証です。

 今日は,中学1年生の『友達の大切さ』という作文を紹介します。
「私は,保育園のころはまだ平気でひどい事を沢山言っていました。でも,小学校高学年あたりから悪い事だと徐々に気付き始めました。今振り返ってみると,前までは友達にも冗談ではありながらもひどい事を沢山言っていました。相手の気持ちも考えるべきだったと,今ではかなり後悔しています。
 私がこのような事がひどい事だと気付けたのは,ある友達の一人が「私もいろんな子に言ってきたけど,言われた時すごい傷ついたし,お互いにやめよ。」と言われたからです。この時に私は,「こんなに良い友達を持ててよかったなぁ~。」と改めて思いました。
 言っている人の方は冗談で言っているつもりでも,言われている方の人はかなり傷付き学校に来るのがイヤになったりします。そんな人が出てこないためにも,友達の言っていた言葉を心に深くきざみつけて,一人でも多くの人の笑顔が増えればイイなぁ~と思います。やっぱり友達は大切な宝物です。」
 私たちが何気なく使う言葉には,人の心に橋を架けたり,怒りや悲しみを和らげたり,人を勇気づけたり,時には傷つけたり,どん底に突き落としたりと例えようもないほどの力があるものです。
 今からでもいいです。また,今日からでもいいです。言葉を使う前に「自分が言われたらどんな気持ちだろう」と考えて,友だちに伝える言葉を選んで使って欲しい。私たちは,未熟で言葉の力をうまく使えないことがありますが,「大切に,そして大事に」と意識して言葉を使えるようになれば,言葉が,君たちの未来を変える「大きな力」をプレゼントしてくれると思います。