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令和2年10月30日(金)
一日千秋(いちじつせんしゅう)
 「一日千秋」(いちじつせんしゅう)は「一日」を「いちにち」と読まず,「いちじつ」と読み,百,千,万の千の秋で「せんしゅう」と読みます。「一日千秋」とは「一日がとても長く感じられ,待ち遠しく思うこと」を意味する四字熟語です。会いたい人や楽しみな出来事が控えているため,はやくその日,その時にならないかと強く望んでいる状況で使用されます。
 「一日千秋」は中国の「一日三秋(いちじつさんしゅう)」という言葉が元となったようです。旧暦では秋の期間が3カ月だったことから,「1日会っていないだけで,3カ月も会っていないように感じる」または,「たった1日なのに秋が3度訪れたように長い」という意味で「一日三秋」が使われていました。
 「三秋」が「千秋」になった理由としては,「三秋」よりも「千秋」の方が長い様子が伝わることや,伝わっている過程で「さん」が「せん」に変換されたためと言われています。春夏秋冬で「秋」が使われているのは,四季がある中国では,秋を基準に1年が数えられていたからです。中国では秋以外の9カ月を,秋が3つ分で「三秋」と表していたり,秋が来ることで年の流れを感じたりしていたそうです。農民からすると秋は実りの季節であり,収穫の秋が1年の基準だったのです。
 「一日千秋」の使い方で,最も多く使われているのが「一日千秋の思い」です。「1日が長く感じられるほど待ち遠しい思い」を意味します。例えば,「一日千秋の思いで友の帰りを待った」という例では「1日が長く感じられるほど,待ち遠しいと思いながら友をまった」という意味になります。
 「一日千秋」の対義語には,「十年一日(じゅねんいちじつ)」があります。「十年一日」とは「長期にわたって変化がなく,同じ状態」であることを意味し,「十年一日のごとく」や「十年一日のような」などの使い方をします。
 本日は,本校の文化祭です。「一日千秋の思いで文化祭が行われるのを待っていた」生徒も多いと思います。是非皆さんの力を結集し,成功させましょう。

令和2年10月29日(木)
冒険の始まりは学校の図書室
 今給黎教子(いまきいれきょうこ)さんを知っていますか?1988年,ヨットで日本人女性として初めて太平洋単独往復に成功した鹿児島の冒険家です。1991年,オーストラリアから日本までの太平洋縦断レースにおいて準優勝しました。同年10月,日本人初,東回りでたった一人で世界一周に挑戦するため,ヨットで鹿児島を出航し,翌1992年7月に無事帰還し,世界1周に成功した方です。
 そんな今給黎さんが中学生の頃,偶然学校の図書室で,ロビン・リー・グレアムの航海記『ダブ号の冒険』を見つけました。その本は,ヨットでの実話の航海記です。今給黎さんはその本を読み,ヨットに猛烈な関心をもつようになりました。当時今給黎さんが通っていた中学校は海から離れていました。それまでヨットを見たことがなかった今給黎さんは,自宅から遠く離れた平川ヨットハーバーというヨットの停泊所に自転車で通い始め,ヨットを眺めるようになりました。その後,憧れを実現させるべく,1980年ヨット部がある県立高校に入学しヨット部に入部しました。翌年1981年から1987年にかけて,国民体育大会のヨット競技に7年連続出場し高校総体では3位入賞を果たしています。高校卒業後は,ヨット部がある鹿児島市役所に就職しましたが,更なる冒険にチャレンジするため市役所を退職し,冒頭紹介した活躍をされました。
 今給黎さんが初めてヨットのことを知ったのは,中学生の頃,通っていた中学校の図書室で航海記『ダブ号の冒険』を読んだからです。図書室で読んだ本が,彼女の人生を変え冒険家としての歩みを決定づけました。
 志布志中学校の生徒の皆さんも,是非,学校の図書館や市立図書館を利用してください。人生を変える,生き方を変える本と出会えるかも知れませんよ。
 ちなみに,1995年に再出版された航海記『ダブ号の冒険』の最後には,今給黎さんの解説があります。今給黎さんがこの本を読んで,ヨットでの世界一周を夢見た理由も書かれています。自分が読んで感動した本の解説を書くなんて,本との出会いは本当に不思議ですね。