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令和3年6月9日(水)
一石二鳥(いっせきにちょう)
一石二鳥(いっせきにちょう)とは一つの石で二羽の鳥を得ると書く四文字熟語です。文字通り一つのことで二つの利益を得るという意味です。これは,鳥が二羽飛んでいたところに一羽の鳥を狙って石を投げたところ,鳥が二羽とも落ちてきたという,17世紀のイギリスのことわざ「Kill two birds with one stone.」(キル トゥ バーズ ウイズ ワン ストン:一つの石で二羽の鳥を殺す)に由来しています。ですから中国ではなくイギリス発祥の四字熟語なのです。この「一石二鳥」も試験によく出題される四字熟語です。「買い物で二つの店を回らないといけないと思っていたけど,一つ目の店舗で全て揃え(そろえ)られたよ。一石二鳥だ」や「ウォーキングをすると,ダイエットだけでなく,健康にもつながって一石二鳥だね」などと使います。
「一石二鳥」という言葉と,似た意味を持つ言葉はいくつかあります。その中でも「一挙両得(いっきょりょうとく)」は,意味が近く使いやすい四字熟語です。
「一挙両得」も「一度の行為で二つの利益を得る」という意味で,「一石二鳥」と同じ意味です。「一石二鳥」と「一挙両得」の違いは,由来です。「一石二鳥」はイギリス発祥で,「一挙両得」は中国の故事成語の発祥です。

 令和3年6月8日(火)
暗中模索(あんちゅうもさく)
暗中模索(あんちゅうもさく)とは,暗いと中,模型の「模」に探す捜索する「索」の四字熟語です。暗闇の中で手さぐりで物を探しまわることです。さらには,問題や事件の手掛かりをあれこれと探ることです。これは,中国の唐の時代の歴史家がまとめた『隋唐嘉話(ずいとうかわ)』に出てくる逸話(いつわ)が由来です。その逸話とは,『許敬宗(きょけいしゅう)という優れた政治家がいました。しかし,その人は物忘れがひどく,人の名前を覚えていないことが多かったのでした。そのことを指摘された許敬宗(きょけいしゅう)は,「その辺の一般人の名前をいちいち覚えていても仕方ありません。しかし,それが古代の文豪(ぶんごう)詩人らの名前だったら,暗中模索してでも思い出して見せますよ」と言ってのけたそうです。』というものです。
難問が山積みして解決が遅れているときなどに,「危機的状況ではあるが,打開策(だかいさく)を必死に暗中模索している。」とか「暗中模索の状態の中,先生のアドバイスを参考にしてスランプを乗り越えた。」とか「自由研究の案が全く思いつかず,暗中模索したが,何とか新しい自由研究に取り組んだ。」などというように使います。
いろいろな勉強法を工夫しても,なかなか成績が上がらない場合,最も自分にあった勉強法を「暗中模索」してみるのもいいかもしれません。

令和3年6月4日(金)
お釈迦様と歯磨き
古代インドで使われていたサンスクリット語に「ダンタカーシュタ」という言葉があります。「ダンタ」は歯,「カーシュタ」は木を意味するので,直訳すると「歯木(しぼく)」です。これは,細い棒の先端(せんたん)をかんで繊維をふさ状にして,歯と舌を掃除する,歯ブラシの原形のような道具です。
歯木は仏教と深い関わりがあります。紀元前5世紀,仏教の開祖である釈迦(ブッダ)のまわりには多くの僧が集まりました。釈迦が弟子たちに説いた言葉をまとめた仏典は「律蔵(りつぞう)」ですが,そこには,歯木についての教えがいくつもあります。最初は「その時,僧たちは口が臭かったので,釈迦は,歯木をかむことの5つのご利益(ごりやく)を説いた」と書いてあります。
もし,何日も歯磨きをしなかったら,口の臭いはどうなることか?想像すると恐ろしいですね。そこで,歯木を使えば,①口臭がなくなる,②食べ物の味がよくなる,③口の中の口内炎などの炎症が無くなる,④痰(たん)をとる,⑤眼がよくなる,と良い点を挙げ,弟子に歯の手入れを勧め(すすめ)たのでした。
歯木の長さは決まっています。ある僧が,長い歯木を使っているのを見た釈迦は,歯木の長さは指八本分までと決めました。また,ある僧が短い歯木を誤って飲み込んで喉を突いたことから,短くても指四本分以上の長さにするように指示しました。歯木をかむのは早朝。歯木を使う前には,手をきれいに洗い使い終わった歯木は洗ってから捨てることも指導しました。
ところで,古代インドでは,歯と舌の汚れを取り除き,口の中を清潔にすることは健康にいい方法だと考えられていました。そして,ニームという常緑樹(じょうりょくじゅ)の苦い樹液には殺菌作用や消炎作用があり,今でも歯木の素材として使われています。
お釈迦祭りのある志布志の皆さんは,お釈迦様に習って,進んで歯を磨きましょう。