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お釈迦様と歯磨き

令和3年6月4日(金)
お釈迦様と歯磨き
古代インドで使われていたサンスクリット語に「ダンタカーシュタ」という言葉があります。「ダンタ」は歯,「カーシュタ」は木を意味するので,直訳すると「歯木(しぼく)」です。これは,細い棒の先端(せんたん)をかんで繊維をふさ状にして,歯と舌を掃除する,歯ブラシの原形のような道具です。
歯木は仏教と深い関わりがあります。紀元前5世紀,仏教の開祖である釈迦(ブッダ)のまわりには多くの僧が集まりました。釈迦が弟子たちに説いた言葉をまとめた仏典は「律蔵(りつぞう)」ですが,そこには,歯木についての教えがいくつもあります。最初は「その時,僧たちは口が臭かったので,釈迦は,歯木をかむことの5つのご利益(ごりやく)を説いた」と書いてあります。
もし,何日も歯磨きをしなかったら,口の臭いはどうなることか?想像すると恐ろしいですね。そこで,歯木を使えば,①口臭がなくなる,②食べ物の味がよくなる,③口の中の口内炎などの炎症が無くなる,④痰(たん)をとる,⑤眼がよくなる,と良い点を挙げ,弟子に歯の手入れを勧め(すすめ)たのでした。
歯木の長さは決まっています。ある僧が,長い歯木を使っているのを見た釈迦は,歯木の長さは指八本分までと決めました。また,ある僧が短い歯木を誤って飲み込んで喉を突いたことから,短くても指四本分以上の長さにするように指示しました。歯木をかむのは早朝。歯木を使う前には,手をきれいに洗い使い終わった歯木は洗ってから捨てることも指導しました。
ところで,古代インドでは,歯と舌の汚れを取り除き,口の中を清潔にすることは健康にいい方法だと考えられていました。そして,ニームという常緑樹(じょうりょくじゅ)の苦い樹液には殺菌作用や消炎作用があり,今でも歯木の素材として使われています。
お釈迦祭りのある志布志の皆さんは,お釈迦様に習って,進んで歯を磨きましょう。