令和2年10月1日(木)
「中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)」
「中秋の名月」とは,旧暦8月15日の夜に見える月のことを指します。中秋の名月は農業の行事と結びつき,「芋名月(いもめいげつ)」と呼ばれることもあります。中秋の名月を鑑賞する習慣は,平安時代に中国から伝わったと言われています。
今年は10月1日が中秋の名月,翌2日が満月と,中秋の名月と満月の日付が1日ずれています。
旧暦では,新月(朔)の瞬間を含む日が,その月の朔日(ついたち)になります。今年は9月17日(新月の瞬間は20時00分)が旧暦の8月1日,10月1日が旧暦での8月15日となります。一方,天文学的な意味での満月は,地球から見て太陽と反対方向になった瞬間の月のことを指すため,満月の時刻は,10月2日6時5分です。
今年のように,中秋の名月と満月の日付がずれることは,しばしば起こります。
また,今年は10月の満月が2回あります。2回目の満月は10月31日で,令和2年2020年で地球から最も遠い満月です。
反対に,令和2年2020年で地球に最も近い満月になったのは4月8日でした。地心距離から計算すると,10月31日の満月は4月8日の満月より,視直径(見たところの直径)は約14パーセント小さく,明るさは約30パーセント暗くなります。もし地球に最も近い満月と最も遠い満月を並べて比較することができれば,大きさの違いがよく分かるはずですが,実際には比較できません。月を眺めているだけでは,月の大きさの変化に気づくのは,難しいでしょう。
さて,月の慣用句として「月とスッポン」というものがあります。江戸時代の「嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)」には,「スッポンは俗語でマルといい,漢字で団魚(だんちのだんとさかな)と書く。一方,月は丸いけれど,マルと呼ばれるスッポンとは大違い」と書かれています。つまり,同じ「マル」でも,月とスッポンは大違いというわけです。そこから,「月とスッポン」が比べものにならないくらい差があるという意味になりました。
私たちは,月を良い方の例え,スッポンを良くない方の例えだと思っています。しかし,実際はどちらが良いということは無いようです。