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『島津日新公のいろは歌』

令和2年12月7日(月)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,志布志生まれの島津常盤(しまづ ときわ)の子でもある島津忠良(ただよし じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで18首紹介してきました。
 今日は19首以降の5首を紹介します。
つ つらしとて恨(うら)かへすな我れ人に 報い(むくい)報い(むくい)て はてしなき世ぞ
相手の仕打ちがどんなに辛くても相手を恨み返してはなりません。次から次へ恨みが続くので,それは良くないことだからです。恨みには徳を持って対処すべきなのです。
ね 願わずば隔(へだて)もあらじ偽(いつわり)の 世に誠(まこと)ある 伊勢の神垣(かみがき)
誠意を持って事にあたれば相応の人生を歩むことができ,不正を持って事に対処すれば結局は地獄に落ちてしまいます。人は欺(あざむ)けても,天は公平に人を見ており,欺け(あざむけ)ません。
な 名を今に残し置ける人も人 こころも心 何かおとらん
後世に名を残した偉人も,人であり我々と違いはありません。心も同じなのですから我々が及ばないということはありません。努力・奮起して努力することが必要です。
ら 楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし
苦労することや楽しいことはずっと続く事ではなく,時が過ぎれば跡形もなくなります。だからこそ困難に耐えて世の為に身を粉にして尽くすべきなのです。歴史に名声を残すような事を心がけなさい。
む 昔より道ならずして驕る(おごる)身の 天のせめにし あはざるはなし
昔から,人の道から外れおごり高ぶった者で天罰を受けなかった者はいません。人は誰しも正しい道を歩んでおごりを遠ざけ,神を敬い教えを守っていきなさい。
 もう一度,今日の5首を繰り返します。
つ つらしとて恨かへすな我れ人に 報い報いて はてしなき世ぞ
ね 願わずば隔もあらじ偽の 世に誠ある 伊勢の神垣
な 名を今に残し置ける人も人 こころも心 何かおとらん
ら 楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし
む 昔より道ならずして驕る身の 天のせめにし あはざるはなし