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『「天上天下唯我独尊」の意味』

令和2年12月1日(火)
「天上天下唯我独尊」の意味
 「天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)」とはお釈迦さまが生まれた際に発した言葉です。「宇宙の中で私より尊い者はいない」という意味で,お釈迦さまが誕生した時に,右手を挙げて唱えたと伝えられています。
 「天上天下唯我独尊」の「天上天下(てんじょうでんが)」とは,天の上にも天の下にも,ということで,大宇宙広しと言えども,という意味です。
 次に「唯我独尊(ゆいがどくそん)」ですが,「我(が)」は自分だけを指すことばではありません。我々とか私たちという意味です。ですから「唯我(ゆいが)」とは,ただ,私たち人間だけに,ということです。
 「独尊(どくそん)」とは,たった一つの尊い使命がある,ということで, 「唯我独尊(ゆいがどくそん)」とは,「私たち人間に生まれなければ果たすことのできない,たった一つの究極の目的がある」と意味です。
 ですから,「天上天下唯我独尊」とは,犬や猫,虫けらに生まれたら果たすことのできない,私たちが人間に生まれたときしか果たすことのできない,たった一つの目的がある」という意味です。「どんなに苦しくても自殺してはいけませんよ,その目的を果たすまで,生き抜きなさい」という意味にも解釈できます。
 すべての人には尊い目的があります。お釈迦さまは2600年前に「万人は平等なり」と仰っ(おっしゃっ)ています。お釈迦さまがおられた当時のインドでは,バラモン,クシャトリヤ,ヴァイシャ,シュードラといわれる,厳しい身分制度であるカースト制度がありました。
 バラモン(僧侶(そうりょ))とクシャトリヤ(王族)は,ほとんど,同等の貴い身分とされていましたが,ヴァイシャ(一般庶民)はそれらに対して結婚はもちろん,交際から職業の自由などありませんでした。
 シュードラ(奴隷どれい)にいたっては,直接他の身分と言葉も交わすことができないという,虫けら同然の扱いでした。
 そのカースト制度の中にありながらお釈迦さまが身分制度を打ち破り,どんな人も尊い目的を果たす為に人間に生まれてきたのだ,すべての人は平等である,とおっしゃったのが「天上天下唯我独尊」の言葉なのです。