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ネズミの相談「猫に鈴をつける」

令和2年11月11日(水)
ネズミの相談「猫に鈴をつける」
 あるとき,ネズミたちが相談をしていました。ネズミたちは,敵の猫から襲われないように,少なくとも,逃げる時間を確保するために猫がいつやってくるかが分かる方法を見つけたいと思いました。ネズミたちは何とかしたいと思っていました。と言うのは,猫にいつもおびやかされて暮らしており,巣穴から出た途端(とたん)猫にひどい目に遭っていたからです。
 猫がやってくるのが分かる方法や,無事に逃げるための方法が話し合われ,たくさんのアイディアが出されましたが,どれもいい方法ではありませんでした。そんな中,若いネズミが立ちあがって言いました。
 「とても簡単で,私はうまくいくと考えている方法があります。猫の首に鈴をつるせばいいのです。鈴が鳴ったのが聞こえたら,首に鈴がついた猫がやって来たとすぐ分かるからです。」
 他のネズミたちは,自分たちがそんなアイディアを思いつかなかったので,とても驚きました。次に,みんなで若いネズミがいい方法を思いついてよかった,と大喜びしました。そんな最中に,年寄りのネズミが立ちあがって言いました。
 「若いネズミのアイディアはとてもいいと思います。しかし,みんなに聞きたいのですが,誰が猫に鈴をつけるのですか?」
 これは,イソップ童話の話のひとつです。英語では bell the catという慣用句になっており,「他人が嫌がる中で進んで困難な場面に当たる」という意味で使われているようです。
 日本では,「猫に鈴をつける」とは,計画の段階では良いと思われる考え方であっても,いざ実行となると引き受け手がいないほど困難なことの例えとして使われます。
 皆さんが学校生活を送る上で,いろいろな良いアイディアがあると思います。しかし,それが全部実現できるとは限りません。そんなときは,この「猫に鈴をつける」話を思い出してください。