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『人間万事(にんげんばんじ)塞翁(さいおう)が馬]』

令和2年11月12日(木)
人間万事(にんげんばんじ)塞翁(さいおう)が馬
昔の中国のお話です。ある塞(さい,砦:とりで)に近いところにおじいさんとその息子が住んでいました。
ある日,おじいさんが飼っている馬が遊牧民族の地へ逃げていってしまいました。周囲の人が馬がいなくなったことを悲しんでいるだろうと思いおじいさんに聞いてみました。しかし,おじいさんは「いやいや,馬がいなくなったことが幸福につながるかもしれないよ」と笑っています。
すると,数ヵ月後おじいさんの馬が逃げていった遊牧民族の地から素晴らしい良馬を連れ,つまり2頭で帰ってきたのです。しかし,おじいさんは「もしや,これが不幸の原因になるかも知れない」と心配したそうです。
おじいさんの言ったとおり,その連れ帰ってきた馬に乗っていた息子が馬から落ちてしまい,太ももの骨,大腿骨(だいたいこつ)を折る大怪我をしてしまいました。すると,おじいさんは「もしかしたら,これは幸福につながるかも知れない」と言いました。
その年,おじいさんたちの近くの砦(とりで)に突然敵が攻め込んできました。そして大きな戦(いくさ)になりました。その砦の周囲の若者は戦に借り出され,ほとんどが戦死してしまいました。しかし,そんな中おじいさんの息子は大腿骨(だいたいこつ)を骨折していたために戦(いくさ)に借り出されず,無事に生き残った,というお話です。
藤子・F・不二雄のアニメ『ドラえもん』には,サイオー馬(ば) という道具が出てきます。不幸な時にこのサイオー馬に蹴られると幸せになり,逆に幸せな時に蹴られると不幸になる,という「人間万事塞翁が馬」を具現化したような道具でした。
人生というのは何がいいことか,悪いことなのか最後までわかりません。幸福や不幸は,そのときだけでは分からないということです。不幸な出来事が起きても,実はそれは不幸な事ではなく,逆にいいことにつながるかも知れません。逆に幸運なことがあっても手放しで喜んでいないで,次に起こるかもしれない不幸に備えなさいという教訓のことわざでもあるのです。
 「人間万事塞翁が馬」。コロナ渦の現在ですが,「新型コロナウィルスに学ぶことができた」と後々(のちのち)の時代で言える日が来ること,「災い転じて福となす」ことになるよう願っています。