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令和3年11月5日(金)
どうせ生きているからには,苦しいのはあたり前だと思え
「羅生門(らしょうもん)」や「蜘蛛(くも)の糸」などの作家である芥川(あくたがわ)龍之介(りゅうのすけ)の名言のひとつに,「どうせ生きているからには,苦しいのはあたり前だと思え」があります。生きている間には苦しい出来事や辛い出来事,悲しい出来事など壁にぶつかることはいくらでもありますし,こういった出来事から避けながら生きていくのは不可能に近いです。
このことばは,壁にぶつかるのは仕方ないことであり,それをどうやって乗り越えていくか考えることが大切であることを説いているのです。
さて,生きるという字に苦しみと書く「生苦(しょうく)」という言葉があります。生(しょう)苦(く)というのは,【生きていく苦しみ】とも読めます。子どものうちは勉強しなくてはならないし,世間に出れば仕事のために毎日のほとんどの時間を使わなければなりません。生きることは確かに大変です。ですから,生きることが楽だという人はいないと思います。いろんな道具や社会の発展によって便利な世の中にはなっていますが,それでも生きることは大変です。しかし,これらは全て生きるためには必要なことです。生きているのですから,その苦しみは当たり前のことなのです。

令和3年11月4日(木)
私のお勧めする本
 私が中学生の皆さんに一冊の本を薦めるとしたら,森(もり)絵都(えと)さんの『カラフル』です。
 私が過去紹介した本の中には,中学生にとって退屈だったり難しすぎたりするなどして,最後まで読まれずに戻ってくることもありました。しかし,森絵都さんの『カラフル』は紹介された人が必ず読破してしまう一冊です。
 内容は,一度死んだはずの「ぼく」が,天使に「抽選にあたりました!」と言われ,生まれ変わり「小林(こばやし)真(まこと)」という中学生として,もう一度人生をやり直すチャンスを与えられ,中学校生活が始まるという話です。しかし,さまざまな困難が立ちはだかります。感想はそれぞれですが,この『カラフル』には,中学生を惹き(ひき)つけるものがあるのでしょう。2000年に実写(じっしゃ)映画化,2010年にはアニメ化されるなど,話題になった作品です。20年以上前に出版されたにもかかわらず,今でも中学生へのお薦めの本ベスト10に入る森(もり)絵都(えと)さんの『カラフル』を是非読んでみてください。
 読書の習慣がほとんどない生徒には,村上(むらかみ)龍(りゅう)さんの『新 13歳のハローワーク』をお薦めします。2003年に『13歳のハローワーク』が発売され大きな話題を呼びました。2010年に発売された『新 13歳のハローワーク』は89の職業を追加した改訂版です。将来を考える時期でもある中学生のバイブルとなるであろう一冊です。
 自分の将来を考え始めている中学生の皆さん,将来のことなど,まだ全く見当もつかない,そんな中学生にお薦めしたいのが『新 13歳のハローワーク』です。この本を読んで自分の将来を決めるのではなく,こんなにも楽しい職業があるのだという認識で楽しんでもらいたいです。
 ちなみに,一般的に「ハローワーク」とは,公共(こうきょう)職業(しょくぎょう)安定所(あんていしょ)のことですが,この本は,公共職業安定所とは一切関係がありません。

令和3年11月1日(月)
いくつもの夢を追いかけてみよう
 みなさんには,一つではなく,複数の夢をもって欲しいと思います。科学者になる夢と,ミュージシャンになる夢は,両立可能なものです。いくつかの夢を追い,その中で実現できないものがあったとしても,それは挫折(ざせつ)ではありません。
 受験でも,「第1希望がダメなら第2希望」ではなく,複数の志望先を並列(へいれつ)に置いて追いかけることをお勧めします。「これが一番」と順位を決めて,それが手に入らなければもうおしまいと考える人は,挫折だらけの人生になってしまいます。
 スポーツ選手にしても,一生,スポーツ選手として生きるとは限りません。引退後にテレビのキャスターになる人もいれば,デザイナーになる人もいます。コーチとして同じ世界で立場を変えて活躍する人もいます。
 はじめから複数の「好きなもの」をもっていれば,次の夢への移行もしやすくなり,生きる世界がどんどん広がるでしょう。実現することの可能性が高いものから低いものまで含めて,複数の夢をもち,それを追いかけていきましょう。
 そして,結果的に,そのうちのどれか一つで生きていくことができたとしたら,それはとても幸せなことです。そう思って進んでいけば,皆さんの人生は必ずや豊かなものになるに違いありません。
 皆さんの未来には,無限の可能性が広がっているのです。