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令和3年1月19日(火)
「“serendipity”セレンディピティ」
 「セレンディピティ」とは,予期せぬ幸運に巡り合う能力のことです。求められていない,意図的でない,思いもよらない,幸運な,偶発的に起こった出来事や経験に出会う才能のことです。また,何かを探しているときに,目当てのものとは別の価値あるものを意図せずに見つける能力や才能という意味もあります。
 科学の世界で有名なエピソードがあります。ニュートンは木からリンゴが落ちる様子を偶然見て,万有引力の存在に気付いたといわれています。これが「セレンディピティ」です。
 しかし,「セレンディピティ」による幸運は完全に偶然的に起こるものではありません。普通の幸運「ラッキー」とは違います。
 偶然幸運を得るためには「本人の努力」や「経験」や「経験の中に意味を見出す能力」が必要です。「何もせずぼーっとしていたら偶然いいことが起こる」ことは「棚からぼたもち」です。それに対して「セレンディピティ」での「幸運」とは,「懸命な努力の結果として得られる小さな偶然によってもたらされる幸運」なのです。科学の世界で「失敗が思わぬ成功につながること」も「セレンディピティ」と言います。ここでは,偶然的な要素に加えて,「失敗から成功を見出す洞察力」が大切なのです。世の中にはいろいろな「幸運」が転がっており,その「幸運」を見つけることができる能力が「セレンディピティ」だと考えてください。ただの「ラッキー」ではなく「能力」なので,「セレンディピティ」は自分の意識や努力次第で向上させることができます。
 志布志中学校の生徒も,是非能力である「セレンディピティ」を向上させていきましょう。

令和3年1月18日(月) 
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで23首紹介してきました。
 今日は24首以降の3首を紹介します。
う 憂(う)かりける今の身こそはさきの世と おもへば今ぞ 後の世ならん
嫌なことの多い現世(今の世の中)は前世(生まれ変わる前の世の中)の報いの結果です。現世の行の報いは後の世の姿です。ですから現世の行いを大切にしなさい。すべては因果応報なのです。
い 亥(い)に臥(ふ)して 寅(とら)には起くと夕露(ゆうつゆ)の 身を徒(いたづら)に  あらせじがため
昔の本に亥(午後10時)に寝て,寅(午前4時)に起きるとあります。朝早く起きて夜遅く休むのも,それぞれの勤めを果たすためです。時間を惜しんで働いたり勉強したりしなさい。
の 遁(のが)るまじ 所をかねて思ひきれ 時にいたりて すずしかるべし
君主や国のため命をかけなければならないときがいつかやってきます。日ごろから覚悟を決めておけば,万が一の場合にも少しの未練もなく気持ちが清らかになるはずです。
 もう一度,今日の3首を繰り返します。
う 憂かりける今の身こそはさきの世と おもへば今ぞ 後の世ならん
い 亥(い)に臥(ふ)して 寅(とら)には起くと夕露(ゆうつゆ)の 身を徒(いたづら)に  あらせじがため
の 遁(のが)るまじ 所をかねて思ひきれ 時にいたりて すずしかるべし

令和3年1月15日(金) 
「干支(えと)に入れなかった猫」のお話
 昔,神様が森の動物達に「1月1日の午前0時までにこの神社に集まった者の中から,最初に来た動物から12番目の動物までを順番に干支(えと)にします!」と伝えました。
 神様の話を聞いた動物達は,みんな干支になりたいと思いました。動物達の中で最も身体の小さなねずみは,この干支の中で自分が一番になろうと思いました。早起きが苦手な猫は,この大切な集まりに参加できませんでした。そこで,仲が良いねずみに干支になるにはどうすればいいのかを聞きました。
 猫に干支の話を聞かれたねずみは,「神様は1月2日の午前0時に神社に集まった動物達の中から,最初に来た動物から12番目までの動物達を干支にすると言ったよ」と嘘を教えました。早起きが苦手な猫は干支に入るために,当日は寝ないでずっと起きていることにしました。ねずみが嘘をついたのは,自分が1番になるためでした。ねずみは,自分が1番になるために更に考えました。「ぼくは身体が小さい。早く出発をしても時間がかかって1番になれない。」と。そこで,早起きが得意な牛に相談しました。
 「集まりの日,1番乗りを君に譲るから,僕を牛さんの背中に乗せてください」この話を聞いた牛は,ねずみに協力することにしました。とうとう,干支が決定する運命の日がやってきました。ねずみは牛の背中に乗り,時間に余裕を持って1番乗りを目指して出発しました。
 辺りは真っ暗で,自分達の前を歩いている動物はいません。そして,神社の入り口が見えてきました。神社では,神様が動物達の到着を待っています。牛は,干支の1番目になれると,神社の入り口に足を踏み入れようとしたその瞬間,ねずみが牛の背中から飛び降り,ねずみはそのまま1番乗りで神社の入り口に到着しました。神様は「干支の1番目はねずみに決定だ!」と言いました。ねずみは大喜び。牛は2番になり悔しがりました。
 その後,神社に動物達が続々と集まってきました。トラ,ウサギ,辰(たつ・龍),蛇(み・へび)と,次々に干支が決まっていきます。サルと犬は途中まで仲良く神社に向かっていましたが,途中で喧嘩して,サルは犬を追い越しました。犬は,鶏(とり)にも追い越されてしまったため,サルに対して怒りました。それ以来,サルと犬は犬猿の仲となってしまいました。その後,12番目にイノシシが神社に入り,干支が決定しました。
 そうとは知らない,ねずみにだまされた猫は,次の日の1月2日午前0時に神社に到着しました。周りを見渡すと,そこには誰もいません。猫は「自分が1番乗りだ!」と喜んでいました。
 しかし,いくら待っても動物達どころか,神様すら現れません。不安に思った猫は,木の枝で寝ていた小鳥に聞きました。すると小鳥は,「干支の集まりは昨日の晩で,1番乗りはねずみさんだったよ。」と猫に教えました。その言葉を聞いた猫は,ねずみに騙されたと分かり,怒ってねずみのところに行きました。猫がねずみに抗議すると,ねずみは冷たく「騙された君が悪い。君は神様が干支のお話をした時の集まりに寝坊したのだから。」と言いました。それ以来,猫とねずみは仲直り出来ず,現在でも猫はねずみが大嫌いです。こうして決まった,干支を順番にお伝えします。「ねー,うし,とら,うー,たつ,みー,うま,ひつじ,さる,とり,いぬ,いー」