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令和2年12月10日(木)
志布志高校からお伝えしたいこと
 本日は志布志高校の國生校長校長先生のメッセージをお伝えします。
① コロナ渦においても,生徒たちは日々の学び,部活動に精一杯取り組んでいます。生徒たちは文武両道の意識が高くさらには愛校心が強く,仲間や先輩・後輩の帰属(きぞく)意識(いしき)も高いです。勉強はもちろんのこと,今年度は特に学校行事の中止,縮小や開催時期の変更等があった中,2週連続で行われた体育祭・文化祭では真剣な取り組みを見せ,多くの感動を与えてくれました。
② 本校は明治42年に創立され,今年111周年を迎える伝統ある曽於地区中心高校です。教職員一丸となって,知(学力)・徳(人間性)・体(健康)のバランスのとれた人材育成に励んでいます。現在日本の社会は,少子高齢化,人口減少,AIやロボットの導入,外国人労働者の増加などが予想されています。専門の資格や仕事がなくなくなったり,今までの常識が通用しない正解のない問題に対応する能力が求められたりするものと思われます。本校の普通科での教科学習・総合的な学習(探求)の時間の学び・部活動等の特別活動などで育まれた力はそのような変革の時代に対応できる基礎力となると確信しています。
③ 基礎学力定着・向上を図るため,朝課外や土曜講座,長期休業中の課外を実施しています。また,いずれの進路先でも求められる「書く力」を養成するため,1年次から小論文指導を徐々に行い,3年次には本格的に大学入試対策として小論文指導や面接指導を組織化して実施しています。
④ 入学試験に際し大学側は,学力だけに留まらず高校時代における生徒会活動や部活動,ボランティア活動の経験などといった学力では計れない人間性・社会性のある生徒を求めているため,本校では部活動の参加はもちろん,ボランティア活動,各学校行事への積極的な参加,英検や漢検等の資格取得も勧めています。
⑤ 本校の活性化及び保護者負担の軽減のために,志布志市から支援をいただいています。本校に在籍し,バスで通学する市内の生徒に対し,その通学定期代の半額が補助されています。さらに平成31年の新入生からは市外からの通学生に対しても3分の1の補助をいただいております。また,各種検定試験(英検や漢検等)で一定以上の級に合格した場合,その受検料が全額補助されることから,受検者も増えてきています。第2回の漢字検定は1年生が80名以上チャレンジしました。
⑥ 本校を卒業した後,「志布志高校に入学して良かった」などの声が多く寄せられています。この言葉を継続していただけるよう,生徒一人ひとりが社会に出たときのことを見据え,将来的には地域社会を中心となって支える有為(ゆうい)な人材として活躍できるよう,全職員でしっかり育てていきます。

令和2年12月9日(水)
たゆまざる 歩みおそろし カタツムリ
皆さんは,2年生の修学旅行先の長崎市松山町の平和公園にある平和祈念像を知っていますか。これを刻んだ長崎県出身の彫刻家の北村西望(きたむらせいぼう)氏が作った句に「たゆまざる 歩みおそろし カタツムリ」という句があります。北村氏は,昭和62年3月4日に,102歳で亡くなる日まで現役で創作に励んだ,という元気な方でした。
北村氏の半生(はんしょう)は,苦労の連続でした。日展でライバルたちは次々と受賞,北村氏は8年間も賞を取れず,彫刻を辞めようと思ったこともあったそうです。「私は天才ではない。人より5倍も10倍もかかるのです。いい仕事をするには長生きをしなければならないのです。」と語っています。北村氏は平和記念像をつくるのにも昭和26年から4年間をかけてようやく完成させました。平和祈念像を作っていたある夜,足下(あしもと)にいたかたつむりが,翌朝見てみると10メートルもある像のてっぺんに登っているのを見つけました。それを見た北村氏が感動し,自分の半生を思い作った句がこの句です。
 カタツムリの歩みは,とても遅いです。しかし,そんなカタツムリがいつの間にかてっぺんまで登っているのです。それを見た北村氏はいたく感動したそうです。カタツムリにこつこつと粘り強く歩み続けるエネルギーの驚異をみました。北村氏はカタツムリを尊敬するようにさえなったそうです。
 北村氏が100歳になった際,島原市の玉宝寺(ぎょくほうじ)の聖観音(しょうかんのん)像の台座に,「たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ」という座右銘(ざゆうのめい)を書きました。そして,その後も亡くなるまで研鑚を続けたといいます。
 「たゆまざる 歩みおそろし カタツムリ」
 みなさんも,途中で休むことなく継続し,努力することで大きな偉業をなすことが出来るかも知れません。

令和2年12月7日(月)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,志布志生まれの島津常盤(しまづ ときわ)の子でもある島津忠良(ただよし じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで18首紹介してきました。
 今日は19首以降の5首を紹介します。
つ つらしとて恨(うら)かへすな我れ人に 報い(むくい)報い(むくい)て はてしなき世ぞ
相手の仕打ちがどんなに辛くても相手を恨み返してはなりません。次から次へ恨みが続くので,それは良くないことだからです。恨みには徳を持って対処すべきなのです。
ね 願わずば隔(へだて)もあらじ偽(いつわり)の 世に誠(まこと)ある 伊勢の神垣(かみがき)
誠意を持って事にあたれば相応の人生を歩むことができ,不正を持って事に対処すれば結局は地獄に落ちてしまいます。人は欺(あざむ)けても,天は公平に人を見ており,欺け(あざむけ)ません。
な 名を今に残し置ける人も人 こころも心 何かおとらん
後世に名を残した偉人も,人であり我々と違いはありません。心も同じなのですから我々が及ばないということはありません。努力・奮起して努力することが必要です。
ら 楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし
苦労することや楽しいことはずっと続く事ではなく,時が過ぎれば跡形もなくなります。だからこそ困難に耐えて世の為に身を粉にして尽くすべきなのです。歴史に名声を残すような事を心がけなさい。
む 昔より道ならずして驕る(おごる)身の 天のせめにし あはざるはなし
昔から,人の道から外れおごり高ぶった者で天罰を受けなかった者はいません。人は誰しも正しい道を歩んでおごりを遠ざけ,神を敬い教えを守っていきなさい。
 もう一度,今日の5首を繰り返します。
つ つらしとて恨かへすな我れ人に 報い報いて はてしなき世ぞ
ね 願わずば隔もあらじ偽の 世に誠ある 伊勢の神垣
な 名を今に残し置ける人も人 こころも心 何かおとらん
ら 楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし
む 昔より道ならずして驕る身の 天のせめにし あはざるはなし