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『島津日新公のいろは歌』

令和3年2月16日(火)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで30首紹介してきました。
 今日は31首以降の6首を紹介します。
お おもほえず違うものなり身の上の 欲をはなれて 義を守れ人
私欲(しよく)を捨てて,正義を守って行動せよ。私利私欲を取り去って心を明らかにすると迷うことはない。
け 賢不肖(けんふしょう)用(もち)い捨つるといふ人も 必ずならば 殊勝(しゅしょう)なるべし
賢い者を登用し,愚(おろ)かな者を遠ざけて政治を行えと言っている人の中で,それを実行できるならば素晴らしいことだ。それを実行することはなかなか難しいことであるからだ。
ふ 不勢(ふせい)とて敵を侮(あなど)ることなかれ 多勢(たぜい)を見ても 恐るべからず
少数だからといって侮ってはいけない。また大勢だからといって恐れることはありません。少人数でも一致団結すればたくさんの敵を打ち破ることもできます。
こ 心こそ軍(ぐん)する身の命なれ そろふれば生き そろはねば死す
心や士気こそが戦う者の命である。自分たち戦う者の気持ちが一つにまとまっていれば生きることができ,揃っていなければ死を招くことにつながります。
え 廻向(えこう)には我と人とを隔(へだ)つなよ 看経(かんきん)はよし してもせずとも
死者を弔って極楽往生を祈るには敵味方分け隔てなく,平等に祈りなさい。お経は読んでもいいし,読まなくてもよいのです。
て 敵となる人こそ己が師匠(ししょう)ぞと 思ひかへして 身をも嗜(たしな)め
自分にとって敵となる人こそ,わが師匠であると思いなさい。冷静になって観察すれば反面教師として見えてくるでしょう。すなわち手本ともなるものです。