Skip to content

『島津日新公のいろは歌』

令和3年1月26日(火)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで26首紹介してきました。
 今日は27首以降の4首を紹介します。
お おもほえず違うものなり身の上の 欲をはなれて 義を守れ人
私欲(しよく)を捨てて,正義を守って行動しなさい。私利私欲を取り去って心を明らかにするならば迷うことはありません。
く 苦しくも直進を行け九曲折(つづらお)の 末(すえ)は鞍馬(くらま)の さかさまの世ぞ
どんなに苦しくても,悪い事をしてはいけません。正しい道をいきなさい。京都市左京区にある鞍馬のつづら折の道のように,曲がった道を歩んだものは,まっさかさまに闇の世界に落ち込むような目にあうものです。正しい道を進んでいきなさい。
や やはらぐと怒るをいはば弓と筆 鳥に二つの 翼とを知れ
「穏やか」と「怒り」をたとえるならば,文と武です。これらは鳥に二つの翼があるように自由に飛ぶために必要な二つの要素です。どちらかが無くても役に立ちません。きちんと使い分けて物事を進めなさい。
ま 万能も一心とあり事ふるに 身ばし頼むな 思案堪忍(しあんかんにん)
ことわざに「万能一心(ばんのういっしん)」というのがあります。どんな事をするにも,心を集中しなければなりません。また,いろいろな技を使いこなせても,心が欠けていれば,何の役にも立たないという意味でもあります。万能,いろいろな能力よりも真心が大切です。自分の才能を自慢するような言動をしてはなりません。