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『島津日新公のいろは歌』

令和2年10月22日(木)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖(ちゅうこうのそ)で,島津義弘(よしひろ)の祖父の島津忠良(ただよし)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今日は旧暦の9月14日です。日置市伊集院町では,この日の前後に合わせて島津義弘を偲(しの)び「妙円寺詣り」をしています。
 今日は「いろはにほへと」に続く「ちりぬるを」の5首を紹介します。
ち 知恵能は身につきぬれど荷にならず 人は重んじ はづるものなり
知恵や芸能はどんなに身につけても重荷になるようなものではありません。たくさんのことを習って身につけるべきです。世の人はその人を見て尊敬し,己の及ばないことを恥じるでしょう。
り 理も法も立たぬ世ぞとてひきやすき 心の駒の 行くにまかすな
道理が通らない乱れた世の中であっても,自分一人は正しい道を行き,心を奮い起こして正義と人の道を守り通しなさい。自暴自棄になって勝手放題するものではありません。
ぬ 盗人(ぬすっと)はよそより入ると思うかや 耳目の門に 戸ざしよくせよ
泥棒は他の場所から入ってくると思うかもしれませんが,本当の意味での泥棒は耳や目から入ってくるものです。目や耳によく戸締りをしておきなさい。
る 流通(るつう)すと貴人(きじん)や君が物語り はじめて聞ける 顔もちぞよき
たとえ自分が知っていることであっても目上の人の話は,初めて聞くという態度で聞きなさい。その話は聞いたことがあるよ,知っているよ,という態度や言葉を出してはいけません。
を 小車(をぐるま)の我が悪業 (あくごう) にひかれてや つとむる道を うしと見るらん
人は己の怠け心に引っ張られがちで,やがては仕事が辛くなり悪い習慣になって下に落ちてゆくものである。人はそれぞれ職分を守って,真面目にその務め(やるべきこと)に励むべきです。