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『55年の時を超えて』

令和2年7月22日(水)
55年の時を超えて
 日本初のオリンピック選手で,マラソン競技に出場したのは金栗四三(かなくりしそう)です。前回の大河ドラマ「いだてん」の主人公でもあります。
 四三は,国内では世界記録を20分以上も短縮するという大記録を出していました。四三のベストタイムは2時間19分30秒です。しかし,ストックホルムオリンピック本番では日射病で倒れ,行方不明者扱いされてしまいました。日本中の期待を背負いながらも走りきれなかったことで,深い自責の念に駆られていたそうです。それでも,日本のマラソンをはじめとするスポーツの発展のために50年以上も尽くしてきました。
 そんな四三に,1967年ストックホルムオリンピック委員会から「オリンピック55年祭」が開催されるので来てもらえないかという連絡が届きました。式典後,四三は当時のコースを懐かしそうにたどりました。最後に,55年前はたどり着けなかったスタジアムに足を踏み入れた時です。何故かそこには観衆と役員,そしてゴールテープが用意されていました。思い出のスタジアムで四三は念願のゴールテープを切りました。すると,
 『日本の金栗,ただいまゴールイン。タイム,54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3,これをもって第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します』
 そうアナウンスが流れた時,四三は流れる涙を止められなかったそうです。四三はその後のスピーチで,「長い道のりでした。この間に孫が5人できました」とコメントしました。
 来年2021年7月23日,ちょうど1年後に東京2020オリンピックが開催される予定です。新型コロナウィルス感染症の対応のため,どのような形で開催されるかまだ決まっていませんが,感動の大会にできるよう,私たちも応援していきましょう。