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『「画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く」のことばの意味』

令和2年6月17日(水)
「画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く」のことばの意味
 中国の南朝という時代に梁(りょう)にいた張(ちょう)という絵の名人が,金陵(きんりょう)の安楽寺(あんらくじ)というお寺の壁に四頭の竜の絵を描きました。しかし,その絵の竜にはあえて瞳(ひとみ,別名晴:せい)を描き入れませんでした。周りの者がなぜか,と聞くと張は「瞳を入れると竜が飛び去ってしまうからだ」と言いました。それを信じない周りの者が瞳(ひとみ・せい)を入れるよう促し,仕方なく張が四頭の竜のうち,二頭の竜に瞳を描き入れると,竜は壁から抜け出して空へ昇っていき,瞳を入れなかった二頭はそのまま残ったそうです。この言い伝えから,竜の瞳を描き入れることが,物事の最後の大切な仕上げの象徴とされ「画竜点睛」という言葉が生まれたと言われています。ここで読み方に気をつけていただきたいのですが,竜の字は「りゅう」ではなく「りょう」と読むことです。
 「画竜点睛(がりょうてんせい)」の由来となった出来事は,「歴代名画記(れきだいめいがき)」という漢文に残されています。また,「画竜点睛」という言葉は,「画竜点睛を欠く」ということわざで有名です。「画竜点睛を欠く」とは「肝心な仕上げができていない」「詰めが甘い」という意味で使われます。
 「画竜点睛」は「ものごとの仕上げをすること」の意味です。「画竜点睛を欠く」は「最後の仕上げができていない」という意味です。使い間違いがないようにしましょう。
 「画竜点睛」を使った「画竜点睛を欠く」には,似た意味を持つことわざがあります。それは「仏作って魂入れず(ほとけつくってたましいいれず)」です。「仏つくって魂入れず」とは,もっとも肝心なことが抜け落ちていることを指します。石や木で仏を作っても,それに魂を入れなければただの飾りと同じであり,いちばん大事なものが抜けている,という意味です。すなわち「仏つくって魂入れず」は「画竜点睛を欠く」と同じ意味で使うことができます。
 今日から期末テストが始まっています。最後の最後まで真剣に取り組んでください。そして「画竜点睛を欠く」ことにならないよう,時間いっぱい精いっぱい取り組みましょう。