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令和2年11月9日(月)
大器晩成(たいきばんせい)
 「大器晩成」は,中国春秋時代の思想家で,道教の始祖でもある「老子」の学説を記した書『老子』にある「大方無隅(たいほうむぐう) 大器晩成(たいきばんせい) 大音希声(だいおんきせい)大象無形(たいしょうむけい)」に由来しています。
 意味は,大きな四角形は角が見えない。大きな器はなかなか出来上がらない。大きな音はかえって聞こえない。大きな形は形として見えないものだという意味です。つまり,大きなものの全貌(ぜんぼう)は分かりにくいし,完成するまでに時間がかかってしまうという意味です。
 ここから「大器晩成」が独立して,大人物は時間をかけて大成するという意味で使用されるようになりました。
 「大器晩成」とは,大物と言われる人物になる者は,完成するまでに時間がかかるという意味で使われます。「大器」は「大きなうつわ」と書き,並外れた才能あるいは大人物のことを指します。「晩成」は「朝・昼・晩の晩になる」と書き,普通より遅れて完成すること,または年をとってから成功することをいいます。
 つまり,若いころにはたいした人物には見えなかった人が,後に大物と言われる人物に成長するということです。
 「大器晩成」は相手が「大器」であるという前提で使われるため,褒(ほ)め言葉です。「大器」は確かに完成までに時間がかかりますが,完成に至る途中が全くの凡人であるということではなく,努力している姿に,大物になる片鱗(へんりん)が見られることが多いものです。たとえば失敗してもめげないことや,粘り強く努力を続けるというような,普通の人より優れている点が挙げられます。このような優れた点を認めたうえで,少しずつ完成へ向かっていることを評価する言葉が「大器晩成」です。
 今は芽が出ていないと感じている生徒も,芽が出ていてもなかなか成長しないと感じている生徒も,自分自身は「大器晩成」であることを信じて努力し続けましょう。

令和2年11月6日(金)
風が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる
 「風が吹けば桶屋が儲かる」とは,「風が吹いたことが,廻り廻って桶屋の儲けにつながるという,一見何のつながりもなさそうなものが,意外なことに影響されてしまう。」という意味です。そしてまた,こんな遠く離れた因果関係は当てにならないという意味や,それを期待するという意味にも使われるようになりました。
 昔は,桶屋という商売がありました。今のようにプラスチックはなく,また,金属製品も豊富ではありませんでした。それでお風呂でお湯を汲むときなどに多くの場面で桶が使われていました。この桶は主に針葉樹の材木を板にして縦に並べ,タガをはめて固定し,底板を入れて組み立てられていました。桶は生活必需品でしたので,桶屋は普通に存在しました。しかし,そうそう儲かる商売ではなかったようです。
 この話は江戸時代の『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』に記載されています。
 風が吹くと砂ぼこりが立つ → 舞い上がった砂ぼこりが人々の目に入る → 目が潰(つぶ)れて失明する人が多くなる → 失明した人は三味線を習う → 三味線に貼る猫の皮が沢山必要になる → そのために猫が大量に捕獲される → 猫の数が減る→猫が減ってネズミが増える → 増えたネズミは沢山の桶をかじる → 桶がいっぱい壊れて,桶を買いに行く人が増える → 桶屋が儲かる
 このことから,風が吹いたことが廻り廻って桶屋が儲けることにつながるということです。
 私が皆さんにお伝えしたいことは,一見すると無関係なことでも影響を受ける場合は多く,勉強や運動も同じだということです。部活動に入っている生徒は毎日部活のために勉強する時間が取れないと悩むかも知れませんがそんなに悩む必要はありません。
 私は大学時代まで部活動をしており毎日くたくたでした。しかし,目の前のことに全力投球することを心がけていました。今思えば,例えそれが勉強に関係ないことであっても良い影響をもたらしたと思います。また,逆もまたあります。「勉強に関係ないから」という理由でいろんなことを疎か(おろそか)にしていませんか。当たり前の規則正しい生活を怠ると,勉強に対して思わぬところで悪い影響があるかもしれません。気を抜かず,取り組みましょう。

令和2年11月5日(木)
ウサギとカメ
 昔あるところに,足の速いウサギと,足の遅いカメがいました。ウサギはカメの足が遅いのを,いつもバカにして笑っていました。ウサギに馬鹿にされていたカメは,山の麓(ふもと)まで競争することを提案しました。 
 カメは「ウサギさんは足が速くても,私が勝ちますよ」と,言いました。
 するとウサギは「そんなことはないよ。では,今から競争してみよう。そうすれば,わかるさ」と言いました。
 カメとウサギは,山の麓を目指して一斉にスタートしました。たちまち,足の速いウサギはカメを引き離しました。
 カメはというと,スタートしたときと同じペースであきらめず,休まず歩き続けていました。
 途中でウサギが後ろを振り返ると,はるか後方にカメが歩いています。ウサギは,自分が負けるわけはないと笑い,さらに先へ進んでいきます。あっという間にカメの姿が見えないところまでやって来ました。ウサギがそこで大きな木を見つけると,その木かげでひと休みすることにしました。ウサギは足が速いので安心していたからです。一方のカメは,その間も着実に歩みを進めていました。
 ウサギはしばらくの間眠ってしまいました。どれくらいの時間が経ったでしょうか。ウサギは起き上がりました。
 「あれ,少し眠ってしまったか。まあいい。どうせ,カメはまだ後ろにいるはずだからな」
 ウサギは大きく伸びをすると,そのままゴールに向かいました。
「よし,もうすぐゴールだ。・・・あれ?」
 ウサギは自分が勝ったと思っていたのに,何とカメが先にゴールしていたのです。
 才能や能力があっても,いい加減に取り組んでいて,だめになる人はたくさんいます。
 また,才能はなくても,真面目に辛抱強く取り組む人は,才能がある人に勝つこともあるというお話でした。