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『「干支(えと)に入れなかった猫」のお話』

令和3年1月15日(金) 
「干支(えと)に入れなかった猫」のお話
 昔,神様が森の動物達に「1月1日の午前0時までにこの神社に集まった者の中から,最初に来た動物から12番目の動物までを順番に干支(えと)にします!」と伝えました。
 神様の話を聞いた動物達は,みんな干支になりたいと思いました。動物達の中で最も身体の小さなねずみは,この干支の中で自分が一番になろうと思いました。早起きが苦手な猫は,この大切な集まりに参加できませんでした。そこで,仲が良いねずみに干支になるにはどうすればいいのかを聞きました。
 猫に干支の話を聞かれたねずみは,「神様は1月2日の午前0時に神社に集まった動物達の中から,最初に来た動物から12番目までの動物達を干支にすると言ったよ」と嘘を教えました。早起きが苦手な猫は干支に入るために,当日は寝ないでずっと起きていることにしました。ねずみが嘘をついたのは,自分が1番になるためでした。ねずみは,自分が1番になるために更に考えました。「ぼくは身体が小さい。早く出発をしても時間がかかって1番になれない。」と。そこで,早起きが得意な牛に相談しました。
 「集まりの日,1番乗りを君に譲るから,僕を牛さんの背中に乗せてください」この話を聞いた牛は,ねずみに協力することにしました。とうとう,干支が決定する運命の日がやってきました。ねずみは牛の背中に乗り,時間に余裕を持って1番乗りを目指して出発しました。
 辺りは真っ暗で,自分達の前を歩いている動物はいません。そして,神社の入り口が見えてきました。神社では,神様が動物達の到着を待っています。牛は,干支の1番目になれると,神社の入り口に足を踏み入れようとしたその瞬間,ねずみが牛の背中から飛び降り,ねずみはそのまま1番乗りで神社の入り口に到着しました。神様は「干支の1番目はねずみに決定だ!」と言いました。ねずみは大喜び。牛は2番になり悔しがりました。
 その後,神社に動物達が続々と集まってきました。トラ,ウサギ,辰(たつ・龍),蛇(み・へび)と,次々に干支が決まっていきます。サルと犬は途中まで仲良く神社に向かっていましたが,途中で喧嘩して,サルは犬を追い越しました。犬は,鶏(とり)にも追い越されてしまったため,サルに対して怒りました。それ以来,サルと犬は犬猿の仲となってしまいました。その後,12番目にイノシシが神社に入り,干支が決定しました。
 そうとは知らない,ねずみにだまされた猫は,次の日の1月2日午前0時に神社に到着しました。周りを見渡すと,そこには誰もいません。猫は「自分が1番乗りだ!」と喜んでいました。
 しかし,いくら待っても動物達どころか,神様すら現れません。不安に思った猫は,木の枝で寝ていた小鳥に聞きました。すると小鳥は,「干支の集まりは昨日の晩で,1番乗りはねずみさんだったよ。」と猫に教えました。その言葉を聞いた猫は,ねずみに騙されたと分かり,怒ってねずみのところに行きました。猫がねずみに抗議すると,ねずみは冷たく「騙された君が悪い。君は神様が干支のお話をした時の集まりに寝坊したのだから。」と言いました。それ以来,猫とねずみは仲直り出来ず,現在でも猫はねずみが大嫌いです。こうして決まった,干支を順番にお伝えします。「ねー,うし,とら,うー,たつ,みー,うま,ひつじ,さる,とり,いぬ,いー」