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学ぶ心

令和3年11月22日(月)
学ぶ心(松下幸之助)
 自分ひとりの頭で考え,自分ひとりの知恵で生みだしたと思っていても,本当はすべてこれ他から教わったものである。
 教わらずして,学ばずして,人は何一つ考えられるものではない。幼児は親から,生徒は先生から,後輩は先輩から。そうした今までの数多くの学びの上に立ってこその自分の考えなのである。自分の知恵なのである。だから,よき考え,よき知恵を生み出す人は,同時にまた必ずよき学びの人であるといえよう。
 学ぶ心さえあれば,万物(ばんぶつ)すべてこれわが師である。
 語らぬ木や石,流れる雲,無心(むしん)の幼児,先輩のきびしい叱責(しっせき),後輩の純情(じゅんじょう)な忠言,つまりはこの広い宇宙,この人間の長い歴史,どんなに小さいことにでも,どんなに古いことにでも,宇宙の摂理(せつり),自然の理法がひそかに脈づいているのである。そしてまた,人間の尊い知恵と体験がにじんでいるのである。
 これらのすべてに学びたい。どんなことからも,どんな人からも,謙虚(けんきょ)に素直に学びたい。すべてに学ぶ心があって,初めて新しい知恵も生まれてくる。よき知恵も生まれてくる。学ぶ心が繁栄(はんえい)への第一歩なのである。