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言葉の使い方について

令和3年9月15日(水)
言葉の使い方について
 これから紹介する文章は,今年5月に実施された「全国学力・学習状況調査」で出題された「意見文」です。意味を考えながら聞いてください。
 SNSなどを活用し,インターネット上で文字を通したやりとりをする機会が増えてきている。私は,SNSでやりとりをする際は,相手にどう伝わるかをよく考えながら言葉を選んで使うべきだと思う。SNSは少ない文字数(もじすう)で自分の思いや考えを表現することが多く,相手に伝えたいことが正しく伝わらないことがあるからだ。
 以前,私は次のような経験をした。SNSを使い,みんなで待ち合わせの相談をしていたときのことである。1人の友達に対して,待ち合わせの場所までの交通手段を尋ねるつもりで「何で来るの。」と書いたところ,「どうして行ってはだめなの。」という返事が来て,はっとさせられたことがあった。友達は,私の言葉を「なぜ来るのか。」という意味で捉え(とらえ)てしまったのだ。そのとき私が,友達に誤解を与えないように「集合場所までどうやって来るの。」と,ていねいに書いていれば,このようなことは起こらなかっただろう。
 皆さんの中には,友達同士であれば短い言葉でも十分に意思(いし)疎通(そつう)が図れると考えたり,短い言葉でやりとりができる手軽さこそがSNSのよさだと考えたりする人もいるだろう。しかし,伝えたいことが正しく伝わらなければ,私が経験したように相手に誤解を与え,不快な思いをさせてしまうこともあるのだ。
 SNSで自分の思いや考えを表現する場合には,内容を相手に正しく伝えるために,言葉を十分に吟味(ぎんみ)して使うことが大切だ。少なくともあの経験以来,私は,SNSを使ってやりとりをする際には,自分が書いた言葉を必ず読み返してから発信するようにしている。