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『島津日新公のいろは歌』

令和3年3月23日(火)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた47首の歌です。日新公いろは歌は,薩摩藩の郷中教育の基礎となったと言われています。「島津忠良」の母は,志布志生まれの島津常盤(しまづ ときわ)です。1学期から1年を通して紹介してきました。今回最後の句まで紹介します。
え えへる世をさましてやらで盃(さかずき)に 無明(むみょう)の酒を かさねるはうし
この迷いの世の中,その上にお酒をたくさん飲んで酔い潰れ,迷いの上に迷いを重ねて歩くのは情けないことです。真っ直ぐに先を見据えて歩きなさい。
ひ ひとり身をあはれとおもへ物ごとに 民(たみ)にはゆるす 心あるべし
他に頼る人がいないお年寄り,孤児,未亡人などに対しては情けをかけて一層いたわりなさい。人に対しては仁慈(じんじ)の心で寛大(かんだい)に接しなさい。
も もろもろの国やところの政道(せいどう)は 人にまづよく 教へならはせ
国や村を治める者はその国や村の掟(おきて:きまり)を,まず民に良く説明した上で政治を行いなさい。説明もしないで法を犯したものを罰するのは不仁(ふじん)の仕方である。
せ 善(ぜん)に移りあやまれるをば改めよ 義不義は生れ つかぬものなり
善にうつり,過ちは改めなさい。元来(がんらい),義不義(ぎ・ふぎ)は生まれつきのものではありません。心のありようで義にも不義にもなります。悪いと気づいたらすぐに改めなさい。
す 少しきを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなく 十六夜の空
少し足りないぐらいで満足しなさい。月も満月の次の十六夜の月は欠け始めます。足ることを知って楽しむ心が大事です。