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『島津日新公のいろは歌』

令和2年11月24日(火)
島津日新公のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖で,島津義弘の祖父でもある島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた薩摩藩の郷中教育の基礎となった47首の歌です。今まで12首紹介してきました。
 今日は13首以降の5首を紹介します。
わ 私を捨てて君にしむかはねば うらみも起こり 述懐(じゅっかい)もあり
  君主に仕えるには,身をささげて我を捨てなければ,恨みも起こり不平不満も出る。自分の一身を捧げて君主に仕えなさい。
か 学問はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそ なほ静かなれ
  学問をするには朝も昼も間断(かんだん)なく修めなければならない。特に夜は静かで勉強しやすい。無駄な時間を過ごすのではなく,夜こそしっかり勉強するべきだ。
よ 善きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみと なるものぞかし
人は自分の行いの善し悪しを知ることは難しいが,他人の行いの善悪は目に付くものです。日頃,友人を見て良いことはこれを見習い,悪いことは反面教師としなさい。
た 種子(たね)となる心の水にまかせずば 道より外に 名も流れまじ
私利私欲(しりしよく)にかられて自分勝手なことをすれば,人の道に外れた悪いうわさが流れるものです。この私利私欲の悪い心の種を刈り取って,正しい道を行くなさい。
れ 礼するは人にするかは人をまた さぐるは人を 下ぐるものかは
他人に礼を尽くす事は,自分を正しくして自分自身を敬う事にもつながります。天を敬い己を慎む心を養いなさい。
そ そしるにも二つあるべし大方は 主人のために なるものと知れ
家臣(かしん)が目上の人の悪口を言うのは二通りあります。主人を思うあまり言う悪口と,自分の利害から来る悪口です。主人たるものは悪口を良く判断し,主人を思う悪口の場合,それを反省の材料とすべきなのです。