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平成31年3月13日(水)『第72回卒業式 式辞』

 長く厳しい冬の寒さが和らぎ,まもなく桜の開花を知らせる便りが届き,うららかな春の訪れを感じさせる季節となりました。春の到来は,夢や輝く未来を感じさせ,皆さんの門出を祝っているようです。
 本日,志布志市立志布志中学校第72回卒業式を挙行するにあたり,ご多用のところ志布志市教育委員会,市当局,そして小学校の校長先生方をはじめ,多数のご来賓・保護者の皆様のご臨席を賜りましたことに対し,卒業生,教職員ともに謹んで御礼申し上げます。
 ただ今,卒業証書を授与された145名の卒業生の皆さん,卒業おめでとうございます。皆さんの引き締まった表情の中に,中学校生活3年間を立派にやり遂げたという大きな満足感と新たな世界へ旅立つのだという力強い決意を感じ取ることができました。
 卒業生の皆さんと私との出会いは2年前の新任式。そこには様々な事に興味津々で長い時間集中できない君たちの姿がありました。そして,修学旅行では,楽しさの余り君たちを支えてくださる方々,一緒に楽しい時間を共有する友へ配慮することができず,ホテルのロビーで共に座り「周りを見る目」の大切さについて語りこんだ日の事が心に強く焼き付いています。
 しかし,君たちは,2年生の体育大会練習の折に当時の3年生と一緒に全体練習開始3分前に集合を完了し,開始時刻を黙想をして待つという志布志中学校の新たな伝統の第一歩を踏み出し,その後約1年半それを継続し,確固たる校風・伝統の礎を築き上げてくれました。
 そして,3年生に進級した君たちは、最上級生として学校行事や生徒会・専門部活動、部活動で立派にリーダーシップを発揮し、志布志中学校に変化をもたらしてくれたことに心から感謝しています。
 さて、皆さんは,9年間の義務教育の課程を終え,いよいよ自分の選んだ道へ新たな一歩を踏み出します。皆さんの門出に当たり,私が以前講演会で感銘を受けた「三つの幸せ」という話を贈ります。
 人は誰もが幸せに生きたいという願いをもっています。では,どうしたら幸せな生き方ができるのでしょうか。幸せには「三つの幸せ」があると言われています。
 赤ちゃんの時誰もが,お腹が空けば泣き,機嫌が悪ければ泣くものです。すると家族の人が,どんな時でもだっこをしてあやしてくれました。15歳になった今でも,家族のお陰で,当たり前のように食事をすることができ,温かい布団で寝ることもできます。これが「してもらう幸せ」です。この当たり前の事に対して感謝の気持ちを決して忘れないでください。
 二つ目は,自分で「できる幸せ」です。本が読めるようになったり,手紙が書けるようになった。一人で自転車に乗れるようになったり,好きなスポーツに没頭できた。何でも自分でできるようになると,偉くなった気がしてうれしいものです。これが「できる幸せ」です。
 この中学3年間を通して,身体も心も大きく成長し,小学生の時よりもたくさんの生きるために必要な知識を学び,運動能力や様々な技能も大きく上達しました。これからも多くを学び,色々な事に挑戦してたくさんの「できる幸せ」を味わってください。
 そして最後は,人に「してあげる幸せ」です。人のために何かをしてあげる。人の喜びを自分の喜びと考える。そんな生き方のできる人は,周りの人から好かれ,頼られます。「してあげる幸せ」は,感謝の喜びと言い換えることができ,三つの幸せ中でも最も大きな幸せではないかと思います。君たちには周りの人を幸せにするために,労を惜しまない人になってほしいと思います。それが自分の幸せにつながるはずです。卒業生の皆さんは,これまで家族をはじめ先生方,友だちと多くの方に支えられ,「してもらう幸せ」,そして,「できる幸せ」を味わってきました。
 これからそれぞれ歩む道は違いますが,感謝の気持ちを忘れず,いろいろなことに挑戦し,自分の可能性を伸ばしてください。そして,たくさんの「してあげる幸せ」を味わえるような人生を送ってほしいと思います。
 最後になりましたが,保護者のみなさま,お子様のご卒業おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。立派に成長されたお子様の姿に,15年間の子育てを振り返ったとき,感慨もひとしおのことと拝察いたします。
 皆さまの大切なお子様を3年間お預かりしてまいりました。ご期待に添えなかった点も多々あったと思いますが,生徒たちはたくましく成長し,今日の日を迎えることができました。これもひとえに保護者の皆さま方のご理解とご協力があったおかげと深く感謝しております。今後とも,信頼される学校づくりを目ざし,教職員一同努力して参りますので,これからも一層のご支援を賜りますよう,よろしくお願いいたします。
 結びとなりましたが,本校の花である145名のすてきな香りを私たちをはじめ残された在校生は決して忘れません。皆さんの夢実現を心より祈って式辞といたします。