令和2年4月30日(木)
「ならぬことは,ならぬものです」
~ 会津藩什(じゅう)の掟(おきて) ~
会津(福島県)では,この言葉をよく聞きます。これは会津藩士たちが子供のころに教えられていた「什の掟」の最後の一文です。什の掟は,大河ドラマ「八重の桜」でも紹介された教訓集です。
現在でもこの什の掟をもとにした「あいづっこ宣言」というものがあり,会津若松市内の子供たちは,皆すらすらと暗唱することができるそうです。会津藩士の子供たちは,地区ごとに「什」というグループが定められており,6歳から9歳まではこの「什」に属しており,基本的に遊びも勉強も,この「什」のグループで一緒に行います。「什の掟」とは什の中のルールで,毎日最年長である什長がこれを唱和し,メンバーがきちんと守れているかどうか,確認しています。現代では,おかしいと思えるような内容もありますが,薩摩藩の郷中教育の教えにも似ている気もしますので紹介します。
什の掟は,下の七つです。
一.年長者の言うことに背いてはなりませぬ
二.年長者には御辞儀(おじぎ)をしなければなりませぬ
三.虚言をいふ事はなりませぬ
四.卑怯(ひきょう)な振舞をしてはなりませぬ
五.弱い者をいぢめてはなりませぬ
六.戸外で物を食べてはなりませぬ
七.戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ
月: 2020年4月
『「井の中の蛙大海を知らず」の続き』
令和2年4月28日(火)
「井の中の蛙大海を知らず」の続き
皆さんは,「井の中の蛙大海を知らず」のことわざをご存知ですか?当然「その意味は知っていますよ!」と,と思っているのではないでしょうか。では「その続きを言ってください。」と言われたら何と答えますか?
このことわざの意味は,「井戸の中に住んでいるカエルに海の話をしても分からない。人はとかく狭い見識にとらわれて,他に広い世界があることを知らないで,自分の住んでいるところがすべてだと思い込んでしまっている。自分の知らない世界があることを意識しましょう。」という戒めです。
ところが,このカエル,大海のことは知りませんが,井戸の中からいつも空を見上げどこまでも広がる青い空に強い憧れを抱いています。そこで,このことわざには,後で日本人によって次の句が付け加えられました。その一つが「されど,空の蒼さ(深さ)を知る。」です。狭い世界にいたとしても,空が雄大であることを知ることができる,と言いたかったのでしょう。また,心理学者の吉田章宏氏は,「井の中の蛙大海を知らず,されど,井の中を知る。大海の鯨大海を知る,されど,井の中を知らず。」と付け足しています。これらの付け足しは,一つのことを突き詰めれば,より深い知識を得ることができる。また,その人だけが知っている世界があるということです。これは,人間関係におけるコミュニケーションについての示唆でもあります。相手には相手の世界があります。それをお互いに認め合うことでコミュニケーションが成立し,互いに高めあうことができる,ということです。
狭い世界にいたカエルだからこそ,毎日毎日,空を見上げ,外に出たい,こんなことをしたい,あんなことをしたいなどという大きな夢を膨らませていたのでしょうか。
現在,生徒の皆さんは学校に登校できず,悶々としている状況であろうと,心を痛めています。しかし,だからこそ今の現状でなければ見えない世界もあるかも知れません。ステイ・アット・ホームの状況で感じること,見えることを大切にしてください。