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校長室より 【5月号】

エピソード2
「歩育」
~歩いて登校500m以上~
                                             校長 若松 剛志

 先日、大好きなテレビ番組「鬼平犯科帳」を視聴していたら、葬列のシーンがありました。故人を棺に入れ列を組んでお墓まで歩くのです。これは、小学校4年生の国語科で学習する「ごんぎつね」でもでてきます。こんな記述です。「やがて、白い着物を着たそうれつの者たちがやって来るのが、ちらちら見え始めました。話し声も近くなりました。そうれつは、墓地へ入ってきました。人々が通ったあとには、ひがん花がふみ折られていました。」
 私の田舎では私が子どもの頃までは霊柩車はなく、葬列を組んでお寺まで練り歩いていたことを記憶しています。祖母・祖父が亡くなったときは、そうしました。
 何かにつけ歩きました。自転車や車など持っている人はまれでした。我が家にもありませんでした。
 歩くといいことがあります。気分が晴れやかになります。おなかがすき、ご飯がおいしくなります。季節を感じます。風の冷たさや暖かさ、季節の匂い。原田校区を歩くと、今ならたくさんのお茶工場から漂う新茶のいい香りがなんとも気持ちいいものです。何せこんないい香りが「ただ」ですから得した気分です。子どもの頃、炭火で熱したトタンの上のお茶の葉を揉んでいた匂いがよみがえります。
 本校の伝統として「歩いて登校500m以上」があります。仮に登校で500m、下校で500m歩いたとすると1日1kmです。年間の登校日は211日ありますので登下校するだけで211km歩くことができます。6年間で、1266kmです。なんと東京近くまで歩いたことになります。すごい数字だと思いませんか。1266km。子どもの成長にとって大きな数字です。登下校だけで、1266kmも歩くことができるなんて! 
 今の季節なら小雨の日には、カッパ(ポンチョがランドセルをカバーできるのでよいと思います)を着て、長靴を履いて登校してはどうでしょう。水たまりの中を長靴で歩くのは子どもだけではなく、大人も楽しいものです。私もポンチョと長靴を新調し、雨の日の登校を楽しんでいる一人です。