Skip to content

令和3年3月19日(金)
全力を尽くせましたか
 2001年,イチロー選手はアメリカのスアトル・マリナーズに移籍し,日本人野手で初めてのメジャーリーガーとなりました。
 メジャーリーグに加入したばかりのイチロー選手でしたが,早くも5月の段階で連続安打記録を23まで伸ばしました。その後,連続安打記録は23で途切れてしまいました。試合後のインタビューで,イチロー選手は「いつも一生懸命プレーしようとしていますが,今日は結果が出ませんでした。そのことを悔やんでもいないし,恥ずかしいとも思っていません。なぜなら,全力を尽くしたからです」と語っていました。
 イチロー選手が常に平常心でいられたのは,日々の練習からくる自信があったからでした。私たちは,テストや部活動の試合のたびに目標に向かって努力します。しかし,当然のことながら,いつも達成できるわけではありません。
 計画を立て,計画に基づいて取り組み,全力を尽くしても達成できないことがあるかも知れません。しかし,それは全く恥ずかしいことではありません。ただ,多くの場合,まだまだ全力を尽くしていないのに「未達成」で終わってしまっていまうのではないでしょうか。そういう場合は恥ずかしいと思わなければならないのです。
 さらに,難しいのは本人の「全力を尽くした」と周りから見た「全力を尽くした」とに差がある場合です。
  アテネオリンピックの金メダリスト野口みずき選手は毎日30キロ走るそうです。野口選手は『やり続けることを習慣にしてしまうと,今度はそれを止める(やめる)ことのほうが苦痛になる。』と言っていました。
 皆さんも,周りから「全力を尽くした」と褒めてもらえ,自分で「全力を尽くしました。悔やんでもいないし,恥ずかしいとも思っていません。」と言い切れるような努力をしてみませんか。

令和3年3月17日(水)
「自灯明(じとうみょう)法灯明(ほうとうみょう)」
 お釈迦様(おしゃかさま)が亡くなる際に弟子たちの行く末(すえ)を心配して,遺言として「自灯明(じとうみょう),法灯(ほうとう)明(みょう)(じとうみょう,ほうとうみょう)」という言葉を残したことをご存知ですか。「自灯明(じとうみょう)」とは「自らを拠り所にして生きなさい」という意味です。
 80歳のお釈迦様(おしゃかさま)が今まさに亡くなろうとしているときに,弟子のアーナンダが
 「お釈迦様(おしゃかさま)が亡くなってしまったら,その後,私はどうすればいいんでしょうか。何を拠り所(よりどころ)にすればいいんでしょうか!?」とお釈迦様(おしゃかさま)に尋ねました。それに対し,お釈迦様(おしゃかさま)は「自灯明(じとうみょう)」とおっしゃったのです。
 「自灯明(じとうみょう)」とは,自分自身を信じて生きることです。自分を信じて自分の価値観や考えを基に,他人の意見には左右されずに,自分を拠り所として生きるということです。
 お釈迦様が3千年も前に説かれて,今も色あせない『自灯明(じとうみょう)』に沿って生きることが,混迷する現代社会を生き抜く知恵であると思います。人に左右されるのではなく,自分を信じて自分の信念や考えに基づいて生きていくことが未来を切り開く生き方かも知れません。「法灯(ほうとう)明(みょう)」については,また後日お話しします。
 お釈迦様(おしゃかさま)は,『自灯明(じとうみょう)』ということばで,自分自身を頼りに生きることだと説いたのではないでしょうか。

令和3年3月16日(火)
卒業式式辞
 厳しい冬を乗り越え,春の息吹が感じられるこの良き日に志布志市立志布志中学校第七十四回卒業式が挙行できますことを卒業生とともに心から感謝申し上げます。百二十九名の卒業生の皆さん卒業おめでとう。皆さんはこれまでの感謝とこれからの決意を胸に刻みこの卒業式に臨んでいることと思います。
 思い起こせば 三年前皆さんは 瞳を輝かせて 本校に入学しました。しかし最上級生となった本年度合唱コンクールや部活動の地区大会などが中止となり悔しい思いをしたことと思います。それでも体育大会・文化祭などの学校行事や部活動・生徒会活動,ボランティア活動などにリーダーシップを存分に発揮してくれました。志布志中学校の今の成長の姿は皆さん,卒業生の力が大きかったことは言うまでもありません。
 そして今日ここに九年間の義務教育を修了しそれぞれの進路先へと旅立ちます。おそらく皆さんの胸中は晴れやかで 限りなく希望に燃えていることと思います。そんな皆さんの門出にあたり鬼滅の刃竈門炭治郎第103話「縁壱零式」に出てくることばを紹介します。刀匠見習い小鉄少年に主人公の炭治郎が優しく語りかけた言葉が,「君には未来がある。十年後二十年後の自分のためにも今頑張らないと。今できないこともいつかできるようになるから。」でした。
 鬼にされた妹の禰豆子を 人間に戻すために,炭治郎 は修行を重ねながら,鬼を退治していきます。それは,少しでも早く妹を救いたいからと,常に命の危険にさらされているからです。炭治郎は,自分自身に対して,「今できないことも,いつか必ずできるようになる」と信じ,失敗を恐れず前へ前へと進んでいます。
 戦っては斬られ,斬られては休み,回復したら戦いへ戻り,また斬られる炭治郎のように,私たちも何かを成し遂げるには,たとえ負けたとしても,また立ち上がり挑戦し続けるしかありません。何かに 挑戦することは,今の自分よりも確実に一歩前に進むことです。立ち上がるからこそ,前に進むことができるのです。志布志中学校の皆さんも,急がず,あわてずとも,確実に前に進むことが大切です。未来は今の積み重ねでしかありません。十年後二十年後の自分のために,目の前のこと,今やらなければならないことに丁寧に真剣に取り組みましょう。
 保護者の皆様,お子様のご卒業誠におめでとうございます。三年間で子どもたちは,心身ともにたくましく成長しました。今日の巣立ちの日を迎え,万感胸に迫る思いがおありのことと拝察いたします。今後とも我が子と本校教育への変わらないご支援をよろしくお願いいたします。
 さて,新型コロナウィルス感染状況は一進一退で,明日が見えにくい状況です。しかし,朝の来ない夜はありません。春の来ない冬もありません。本校職員や保護者の皆様に加え,市教育委員会や来賓の皆様,そして地域の方々からの支援を賜ることで,この困難な状況を乗り越えることができると信じています。
 結びとなりますが卒業生の皆さん中学三年間の仲間は不滅です。皆さん卒業生の前途が幸多きものになるとともに,近い将来それぞれの志を果たす活躍ができることを祈念し式辞といたします。

令和三年三月十六日