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 昨日,君たちの登校状況を見て,以前紹介した松下幸之助さんの『雨が降ったら傘をさす』という言葉を思い出しました。
  松下幸之助さんは,この言葉を通して雨が降る時に「傘を用意する,用意できる状態にする。」つまり『事前準備』と『事前予測』の大切さを私たちに教えて下さっています。
 昨日の登校時間は傘だけではなく,合羽が必要だと感じるほど雨が強くなってきました。そんな中,傘をさしながら歩いて登校する生徒,合羽を着て自転車で登校する生徒,カバンやバッグが濡れないように自転車の荷台や籠をビニール袋で覆って登校する生徒と様々な工夫をして登校する姿に心を打たれました。
 しかし,そんな中,車で駐車場まで送ってもらい,傘も持たずに平然と歩いている生徒を見ると「家を出る時には雨が降っていたのでは,何故傘を準備しないのか」と残念でなりませんでした。
 『雨が降ったら傘をさす』事は,当たり前の事です。また,事前に準備をしたり事前に予測することは,今後生きていく上で『大切な力』となります。「してもらう」事を当たり前の事として感じるだけではなく,様々な体験を通して「できる喜び」を是非感じられるようになってほしいものです。期待しています。

 『ゴミから生活の様子や捨てた人の気持ちが分かる』という話を聞いた事があります。
  例えば,教室に紙が落ちていたとします。綺麗に折られた紙が落ちていたら「机の中から落ちてしまったのかな」と想像し,そっと机の中に入れてあげますが,揉みくちゃになった紙が落ちていると「机の中も片付いていないんだろうな」と考え,机の中を覗き込んでしまうものです。
 また,友だちへの伝言が書かれた紙を見つけると,今学級で何が起きているのか,表面的には見えない友だち関係等も見えてくるものです。
 そして,多くの人が利用する階段や廊下にゴミや紙切れが落ちているとしたら,そこで生活する人の心の状態を垣間見ることもできます。
 『ゴミを1つ捨てる者は,大切な何かを1つ捨てている。ゴミを1つ拾う者は,大切な何かを1つ拾っている」という言葉があります。「大切な何か」とは何なのか。「心」「信用」「思いやり」「公共心」「道徳心」等々。人によって様々な言葉が思い浮かぶと思いますが,「信用」「道徳心」が当てはまると思います。
 『環境が人を創る』と言いますが,環境を創るのは人です。分からないように捨てたつもりでも,そこには君の「信用」も捨てられているのです。考えてみましょう。

 昨日の全校朝会で『小さい事を重ねる事が,とんでもない所に行くただ一つの道』というイチロー選手の言葉を紹介しました。
 イチロー選手は,日米のプロ野球選手生活通算28年間で4367本の安打を打ち,今年の3月現役を引退しました。
 イチロー選手は,現役時代,誰よりも早く球場に入り,入念なストレッチングとバッティング,守備,走塁練習を行い,万全な状態で試合に臨んでいたと言われています。
 また,試合が終わると他の選手が食事等へ出かける中,一人クラブハウスに残り1時間近くバットやグローブ,スパイクの手入れを行ってから帰宅していたとも言われています。
 イチロー選手が続けてきた事は,プロの選手であれば当たり前の事なのかも知れませんが,簡単にできる事ではなく,一日一日の積み重ねが前人未到の記録を創り上げたのだと思います。
 『小さい事を重ねる事が,とんでもない所に行くただ一つの道』という言葉を君たちの生活に置き換えれば,『一人ひとりの思いを揃え,一日一日を積み重ねる事が,とんでもない伝統を創り上げるただ一つの道』と言えるのではないでしょうか。
  決して大きな成果は必要ありません。小さな成果の積み重ねが,やがて大きな伝統を創るのです。挑戦してください。