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『島津日新公(じっしんこう)のいろは歌』

令和2年9月30日(水)
島津日新公(じっしんこう)のいろは歌
 日新公いろは歌は,島津家中興の祖である島津忠良(ただよし:号は日新斉・じっしんさい)が,5年余の歳月をかけ完成させた47首の歌です。日新公いろは歌は,薩摩藩の郷中(ごじゅう)教育の基礎となったと言われています。以前も紹介しましたが,島津家中興の祖「島津忠良」の母は,志布志生まれの島津常盤(しまづ ときわ)です。
 今日は「いろはにほへと」の「にほへと」の4首を紹介します。
に 似たるこそ友としよけれ交らば 我にます人 おとなしきひと
人は自分と似たような人と仲良くなるものです。しかし,それだけでは進歩は望めません。自分より優れた見識(けんしき)を持つ者を友とすることで,自己研鑽(けんさん)をすることも必要なことです。
ほ 仏神(ほとけがみ) 他にましまさず人よりも 心に恥ぢよ 天地よく知る
神様や仏様はどこにでもいるものではありません。自分の心の中にいるのです。もし,恥ずかしい行動をしたとしたら,自分の良心に恥じなさい。世間はあざむけても,自分の心はあざむけないのです。
へ 下手(へた)ぞとて 我とゆるすな稽古(けいこ)だに つもらばちりもやまとことのは
自分は下手だからと卑下(ひげ)して,稽古することや努力することを怠ってはなりません。稽古(けいこ)し,努力をしたならば少しずつ積もり積もって進歩していき,ついには上手になるものです。ちりも積もれば山となる。継続は力なりです。
と とがありて人を斬るとも軽くすな 活かす刀も ただ一つなり
とがとは罪(つみ)のことです。このとがない罪のない人を切り捨てることがあってはなりませんが,たとえ罪があったとしてもその人を罰するにあたって,簡単に罰してはいけません。人を生かすも殺すも,心の持ちよう一つで決まるものです。
 最後に,今日紹介した4首を繰り返します。
に 似たるこそ友としよけれ交らば 我にます人 おとなしきひと
ほ 仏神(ほとけがみ)他にましまさず人よりも 心に恥ぢよ 天地よく知る
へ 下手(へた)ぞとて 我とゆるすな稽古だに つもらばちりもやまとことのは
と とがありて人を斬るとも軽くすな 活かす刀も ただ一つなり